儲けを見える管理会計の基本とメリット&デメリット
こんにちは、ファーストステップ株式会社コンサルタントです。
私は、決算書を作成するための財務会計だけではなく、会社の経営状況、つまり儲けを見える化するために管理会計を導入しませんか?という話をブログやホームページ、セミナー等でたびたびお話しさせていただいています。
今日はこの管理会計について、誰でも簡単に理解できるよう、より分かりやすくご説明していきたいと思います。
基本のき、管理会計とは?
管理会計とは、決算書ルールに従って作る財務会計とは異なる社内向けの会計です。
管理会計を取り入れることで、コストを変動費と固定費に分けて把握することで、儲けを見える化することができるというのが大きな特徴です。
次に、管理会計による儲けの見える化をすることで、3つのメリットが得られることを解説します。
管理会計のメリット①経営状況の把握ができる
たとえば前年の売上が3億で、今年は3億5千万だったとします。そして、利益は前年より1千万円上増加させることができました。
この時、事業は上手くいっていると言えるでしょうか?
固定費と変動費を把握していないと、損益分岐点分析(CVP分析)をすることができません。
管理会計を導入することで、固定費と変動費を分けて管理できるようになりますので、効率的に経営を行って、儲けを出せているのか?という会社の経営状況を把握することができます。
管理会計のメリット②目標を定めることができる
さらに、管理会計を導入することで、利益をこれぐらい出すためには売上はこのくらい必要、といったことが逆算することができるようになるので、経営数字の目標を立てることができるようになります。
目標設定は売上に限らず、経費の面でも同じです。部門ごとのコストの目標がない状態だと、売上の増加に比例してどんどんコストも膨れ上がってしまいます。
会社の経営はやはり利益を出していかなければなりませんから、採算の目標を作るということはとても大切です。
管理会計のメリット③改善すべきポイントが分かる
管理会計を導入する場合、部門別採算制度をとるようにします。
詳しくは別の記事で記載していますが、簡単に言うと店舗ごととか、事業ごとといった会社を部門単位に分けて、売上は?経費は?利益は?と、会社の数字を別々に求めて管理することで、採算部門・不採算部門が分かるようにすることができます。
京セラの稲盛和夫氏が会社を小さな組織(アメーバ)に分けて経営するという「アメーバ経営」を提唱していますが、基本的な考え方は同じです。
会社の中の、どこが良くて、どこがダメかが見えるようになることで、精度の高い経営判断ができるようになります。
もっとも分かりやすい例が、多店舗展開をしている企業です。店舗ごとの採算が分かるようになれば、優良店をモデル化したり、不採算店を閉店候補にしたりと経営戦略がとても練りやすくなります。
管理会計のデメリットとは?
儲けの見える化に最適な管理会計ですが、実は導入する上でのデメリット…というか、ちょっとだけハードルになる部分があるので、その点について包み隠さずお話ししたいと思います。
それは、いきなり独学で導入しようとしても難しいという問題があります。
「今期からは管理会計で」といきなり経理の方に指示をしても、ぽかーん…とされてしまうだけかもしれません。
管理会計って何?というところから、具体的にどんなフローを採ればいいのか?というところまで一から勉強していただくことになります。
管理会計は税務会計と比べると、実務上より細部に至るまで、締め日・支払日に合わせて管理をしていく必要があります。
また、税務会計と違って表記ルールがあるのではなく、会社の実体に合うように作っていく必要があるので、今までの人員で独学で管理会計を始めるのは不可能に近いと思います。
また、経理の人としても新しい作業が増える手間があるので、当然導入する目的やメリットなどをきちんと理解していないと、「なんでそんなことしないといけないんですか?」「無理です」「やりたくありません…」ということにもなりかねません。
管理会計を分かっている人を雇ったり、専門家に依頼することでスムーズに導入することができます。
管理会計「だけ」の導入はお勧めできない理由
とりあえず独学で管理会計について学び、管理会計もどきを行うことはできるかもしれません。
ですが、時間や手間がかかる上に、儲けを見える化した後にどう活用していくか?という経営戦略の部分にまで落とし込めない可能性が高いと思います。
管理会計は知らない人からすると、とても面倒で複雑なものだと思います。
たとえばパソコンの使い方をまったく知らない人が、電源の付け方から始めて一から自分ひとりで学ぶのは、結構ツラいものがありますよね。
でも、インターネットを閲覧したり、Eメールを日常的に活用している人が、専門の講師からExcelの使い方を学ぶとすぐ習得できたりします。
経営者の方が、私どものようなコンサルタントから学ぶと、とても効率的に管理会計について習得できます。
20代の若手経営者の方から70代、80代の方でも専門家と手を組めば、いつからでも管理会計の導入はできるのです。
その際、管理会計を単なる会計手段として考えるのではなく、会社の戦略的な仕組みづくりの一環としてとらえることが大切です。管理会計で儲けを見える化すると、経営はもっともっと良くなります。
時間当たり収益を知りたいと思いませんか?
管理会計を導入することで、とても役に立つ指標が手に入ります。それが、時間当たり収益です。
時間当たり収益とは、1従業員あたりの1時間あたり収益のことです。
つまり、管理会計を導入して部門別の採算を見ることで、部署ごと、店舗ごとの1人の従業員が1時間あたりにどれぐらいの付加価値が稼げているか?を明らかにすることができます。
人数も違う、営業時間も違う部署とか、店舗同士の採算を比べて見るというのは、通常とても難しいと思います。
一体どっちの店の方が、経営として上手くいっているのだろうか…そんな時に、時間当たり収益が分かると一目瞭然です。
管理会計を導入することで、ダラダラ残業を防止したり、店長や部門長の統制を採ったりと、仕組みとして導入して会社全体に根付かせることができれば、実はコンサル費用なんて簡単に回収できてしまう程の効果があるのです。
以上、管理会計の基本についてお伝えしました。