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本当の儲けが見えるようになる“部門別採算制度”とは?メリットとデメリットを解説

こんにちは、ファーストステップ株式会社・コンサルタントです。

稲盛和夫氏がJALを再生させる際にも活用した、部門別採算制度について解説していきたいと思います。

  • 部門別採算制度とは何か
  • 部門別採算制度のメリット、デメリット
  • 部門別採算制度を導入すると、何がどう変わるのか?(事例)

こんなテーマについて詳しくみていきます。

部門別採算制度とは

部門別採算制度とは、京セラ、KDDIの創業者である稲盛和夫氏が提唱するアメーバ経営においても非常に重要な役割を果たしています。そして、私たちファーストステップもこの部門別採算制度の導入を積極的に勧めています。

部門別採算制度とは、決算書・試算表を事業別、部署別に作成することを言います。

これは大企業で近年よく見られる事業部制、カンパニー制の基礎となる考えであるとともに、中小企業においても事業ごと・部署ごとの採算を明確化することができるためとても有効な手段だと言うことができます。

私の今までのコンサル経験によると…

少し私の話をさせていただくと、今までざっと1200社以上の中小企業の支援をさせていただいてきました。

そして、その中で特に日々強く感じているのが、「経営者の多くは、本当の数字を知らないまま経営をしている」ということです。

会社全体の売上、利益までは把握していても、それを事業ごとに見たり、部署ごとに見ることができていない会社が多いのです。

全体の数字だけを見ていても、一体どこが赤字の原因になっているのか…?悪いところが分からないので、改善できないのです。

もし医者に行って、

「身体の調子が悪いようですね。原因はわかりませんが身体を休めましょう」と言われて帰されたら、嫌だと思いませんか?

頭痛なら頭痛、腹痛なら腹痛の原因を特定してほしいですよね。

部門別採算制度のメリット

部門別採算制度の一番のメリットは、その名の通り部門ごとの採算が見える化できることです。

売上が大きい部署の貢献度が高いように思っていても、実際は経費も多くかかっていて、採算ベースで見たら全然儲かっていなかった…ということがよくあります。

儲かっているのか、いないのか。何が良くて、何が悪いのか。

現状の把握がきちんとできることが何よりのメリットになります。

売上ベースで物事を見ていた会社さんが、細分化された部署ごとの採算ベースで物事を見られるようになると、目の悪い人が初めてメガネをかけた時のように、視界がひらけてスッキリすることは間違いありません。

部門別採算制度のデメリット

部門別採算制度のデメリットは、2点あります。

1点目は、複雑なため、きちんと理解している人でないと上手く制度設計することができないという点です。

部署間でのお金のやりとりを売買として記録したり、本社経費の振り分け方をどうするか?など、やり方を知らないとどうしても混乱してしまう部分があります。

2点目は、社内からの反対、反発を受けやすい点です。

採算がすべて丸裸になる…ということに不安感を覚えたり、まったく今までの制度とは異なる管理手法のため、新しいことを受け入れたくない…とか、面倒くさいからやりたくない…という社員からは、まず反対されます。

部門別採算制度を導入する意義をきちんと伝えておかないと、抵抗勢力を生むことになります。

経理の担当者も、今までより締め・支払いを厳密に管理し、入出金状況をきちんと報告する必要が出るため、締め付けられていると感じて息苦しく感じる方もいるかもしれません。

部門別採算制度はとても優れた管理手法である一方で、導入するには少しハードルが高いように感じてしまうのも事実のようです。

導入事例のご紹介

部門別採算制度を採用した結果、利益率の大幅な改善に成功したクライアント様がたくさんいらっしゃいます。

分かりやすい例をお話しすると、多店舗展開している会社様。

売上ベースで把握していた時は、A店の売上がトップなので、当然A店の貢献度が一番高いと思っていました。

しかし、部門別採算制度を導入したことで、A店はたくさんのスタッフの人件費をかけて、しかも残業をさせてこの売上を維持していることが分かりました。

そして、本当に効率よく儲けを出しているのはB店だったということに気づいたのです。

あとはB店のノウハウを他店に伝えていくことで、他の店舗でも1位を取ることができました。

部門別採算制度は面白い

部門別採算制度を導入することで、今までの誤った評価が改善され、客観性、公平性が保たれるようになります。

また、売上ベースではなく採算ベースで考えるという視点に変わることで、社員が経営意識を持つことにも繋がります。

無駄なコストをかけないようにするとか、無意味な残業をしないようにすることが採算を良くすることに繋がります。

部門別採算制度は採算を見える化するため、やっていくうちに目標が明確されていきます。

そして、

  • ダラダラ残業をして、自分の残業代稼ぎに勤しんでいた人は改善を求められます
  • いつも定時で帰ると陰口を叩かれていた人が、短時間できちんと成果を出したら褒められるようにます
  • A店ばかり忙しくて、B店は暇なのに給料が一緒なのは許せない…といった社員の不満を改善するきっかけにも

さらに、部門別採算制度により各部門の採算を明らかにしたら、次はその採算を人事考課に組み込んでいきます

また後日詳しくお話しするため今回は割愛しますが、中小企業では「効率よく稼いだ者が評価を受ける」この当たり前が制度として担保されていないことが特に多く感じています。

最初は社内で抵抗されることも多い、この部門別採算制度ですが、実は社員にとっては全員が経営に参加できるようになるチャンス。

そして、社員間の不公平感をなくし、稼いだ者が正当に評価されるようになる、とても理に適った制度なのです。

複雑なように見えますが、部門別採算制度は今まで見えなかった会社のことがよく見えるようになるので、正直とても面白いです。

ぜひたくさんの方に興味を持っていただけたらと思っています。

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