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売上10億円の壁を超えるには?乗り越えなければならない経営者の悩みTOP3と解決策

売上10億円の壁を超えるには?

企業が成長を続ける上で、乗り越えなければならない壁は数多く存在します。 そのような壁の一つが「売上10億円の壁」と呼ばれるもので、巷では「社長がワンマンで努力してたどり着けるのは3億円が限界」とも言われることがあります。

売上10億円の壁を超えるためには、これまで経営者が努力してきたベクトルとは違う方向に視点を合わせ、正しい努力を続けることが大切です。

この記事では、経営者が売上10億円の壁を超えようとする際に直面する悩みTOP3と、その解決策についてご紹介します。

人材の採用・育成に関すること

人材の採用・育成

自社が売上10億円の壁を乗り越えるためには、会社を支えてくれている人材の採用・育成に力を入れることが欠かせません。

社員が会社の一員という自覚を持って行動できる仕組みを作ること、採用活動におけるミスマッチを防ぐことなど、やるべきことがたくさんあります。

しかし、経営者目線で行動できる人材を採用・育成することは、決してかんたんなことではありません。まずは、人材採用・育成に関する問題点と、その解決策についてお伝えします。

問題点

売上10億円の壁を超える上で、人材の採用・育成という観点から考えられる問題点としては、以下のようなものが考えられます。

人材の成長スピードが企業の理想に追いつかない

企業の成長スピードは、必ずしも企業で働く人材の成長スピードとは一致しません。これまでのやり方で、社員が満足できるだけの給与・待遇を得られていると感じるのであれば、社員のモチベーションはどうしても上がりにくくなります。

「もっと頑張れば、もっと良い収入・待遇が期待できる」と発破をかけても、社員を育てるには条件として不十分です。

年収増によって幸福度が上昇するのはおよそ800万円までとも言われており、社員のモチベーションを向上させるためには、単純な昇給・昇格を目的とするだけでは足りないのです。

社員の評価の根拠が分かりにくい

社長の一存で社員の評価が決まる体制となっている状況は、企業を継続的に繁栄させていくためには、早急に改善する必要があります。

社長業のかたわら、経営者がすべてのセクションを見通すことは難しく、どうしても目立つ存在・自分の立場を理解してくれる存在への評価が高くなってしまうからです。

社員の目線から見れば、社長の自分に対する評価は偏っていると考えるかもしれませんし、逆に社長としては適正な評価をしているのに不満を持たれるのは心外だと思うかもしれません。

こうして、一定の社員数になった段階で離職者が増えてしまうなど、人材が思うように定着せず、現状維持にとどまってしまうのです。

解決策

先にあげた問題点に対して、経営コンサルティングの観点から具体的な解決策を提示する場合、以下のようなものが考えられます。

部門別採算制度の導入

売上10億円を目指す企業の場合、複数の事業を展開していたり、いくつかの拠点で営業活動を行っていたりするケースが多いでしょう。

しかし、それぞれの事業・拠点でどのくらいの売上が出ているのか、具体的に把握できていない経営者も少なくありません。

そこで重要なのが、部門別採算制度の導入です。
部門制採算制度とは、決算書・試算表につき事業別または部署別に作成することをいい、事業ごと、部署ごとの利益が読み取れる点でメリットがあります。

決算書全体の数字を見ていても、どの部分に改善点または問題点があるのか、なかなか判断しにくいものです。

しかし、セクションを分けて売上・原価・販管費等をチェックすることで、経営者が思ってもみなかった課題が見つかる場合があります。

部門別採算制度を導入することで、事業・拠点ごとの売上が把握できるだけでなく、売上のために発生している経費についても確認ができます。

企業にとって重要なのは、売上以上に利益を残すことですから、いくら売上が上がっていても各種経費が膨れ上がっている店舗は、決して貢献度が高いとは言えません。

このように、事業・部門それぞれの経営状況が見える部門制採算制度は、本当に重要な部分にリソースを割き、経営状態を改善するためには不可欠な仕組みです。

経営者が自社全体を見通せるだけでなく、各セクションの貢献度も分かるため、社員が働く意義を見出しやすくなります。

採算と人事考課とのベクトルを一致させる

部門制採算制度も含め、社員の働きを正当に評価できる仕組みが整うと、社員のモチベーションにも変化が生じます。

具体的には、社員が昇給・昇格のためにがんばることが、結果的に自社の企業利益につながるような仕組みが求められます。

現段階で中小企業レベルの規模であっても、採算と人事考課のベクトルを一致させる仕組み作りは十分可能です。個々の社員を査定する際、経営者が評価するポイントを部門別に箇条書きにして査定の根拠を明確にするだけでも、社員のモチベーションは変わります。

また、査定時は「社長が直々に社員一人ひとりと話をする」ことが理想です。

任天堂のリーダーとして世界中に愛されてきた岩田聡元代表取締役は、前職のHAL研究所時代、全社員との面談をミッションとしていました。

一人ひとり違う強みがあることを認識して、新しい可能性を開くことを念頭に置いた行動だったものと推察されます。

自分の評価を上げることが根底にあるとしても、社員が採算を考えて動く仕組みができれば、全員が経営に参加しているのと同じ状況になります。

多忙な中で面接の時間を取るわけですから、経営者にとっては踏ん張りどころではありますが、そこを乗り越えた時に得られるギフトは、これまで以上に大きなものになるはずです。

事業収益性の改善・売上向上に関すること

事業収益性の改善・売上向上

人材採用・育成に関するポイントを押さえたら、次はその人材を活用して、事業収益性の改善・売上向上を実現するにはどうすればよいのかを考えていきます。細微なコスト感覚を養うことが、売上10億円の壁を超えるための条件となるでしょう。

問題点

売上10億円の壁を超える上で、事業収益性の改善・売上向上という観点から考えられる問題点としては、以下のようなものが考えられます。

収支に関する分析が不足している

収益から費用・税金を差し引いて、最終的に利益が出ていれば、企業としては一安心というところでしょう。しかし、より効率的に収益をあげ、費用・税金を抑えるためには、収支に関する分析は必須です。

一口にコストといっても、変動費と固定費という違いがありますし、企業によって効果的なコストカットにつながる対策は異なります。

また、利益を出すための売上がどうなっているのか、企業の中で良いところ・ダメなところはどこなのか、分からないまま経営を続けるのは得策ではありません。

社員の働きぶりを「数字」で見ることができない

分析は、細かければ細かいほど、社員の貢献度を算出しやすくなります。特に、社員の時間当たりの収益が見えてくると、稼げる社員は誰なのか・どのくらい稼いでいるのかが明確になり、従業員教育の観点からも貴重な情報が得られます。

このように、社員の働きぶりを数字としてチェックするためには、詳細な情報が必要です。しかし、決算書・試算表の情報が一つにまとまっていると、社員の働きぶりを数字として眺めるのが難しいのです。

解決策

先にあげた問題点に対して、経営コンサルティングの観点から具体的な解決策を提示する場合、以下のようなものが考えられます。

管理会計の導入

管理会計とは、自社で施策を講じるために内々で管理を行うための会計のことです。もう少し具体的に言うと、経営意思決定・原価低減・業務改善など、経営上の目的を達成するために指標とするのが、管理会計上の会計情報となります。

金融機関等への報告・税金の計算を最終目的とする財務会計とは違い、管理会計は自社の体力や問題点をあぶり出すためのものです。

一例として、売上高から変動費を差し引いたものを「限界利益」といいますが、限界利益を計算できると、事業撤退の基準が見えてきます。

また、固定費と変動費を分けて考えることができるため、例えば限界利益が黒字なのに営業利益が赤字だったら、固定費の圧縮が問題解決につながることが分かります。

利益を出すために必要な売上の情報を逆算できるようにしておけば、経営数字の目標立てにも役立ちます。このように、管理会計を導入するだけでも、企業は打つべき手をいくつも考えることができるのです。

社員の付加価値を把握する

部門制採算制度を導入した上で管理会計をスタートすると、精度の高い経営判断が可能になります。事業の中でどの部分が良く、何が問題なのか可視化した上で、さらに情報を細分化できるからです。

店舗の営業時間が一律なら、店舗が1時間あたりどのくらいの収益をあげているのか、従業員1人ひとりがどのくらいの付加価値で稼げているのかを対比することが可能になります。

当然、優秀な社員がいる店舗は利益を残せるわけですから、ロールモデル化して他店舗に良い影響を与えることも期待できます。

経営理念の構築・浸透に関すること

経営理念の構築・浸透

社員の人数が多くなり、事業規模が大きくなると、次第に起業当初の目的がおろそかになってきます。よって、経営理念の構築・浸透に向けた施策は、売上10億円の壁を超えるための重要なポイントになります。

問題点

売上10億円の壁を超える上で、経営理念の構築・浸透という観点から考えられる問題点としては、以下のようなものが考えられます。

自社のブランディングができない

経営理念とは、社員の行動・意思決定の際にベースとなる考え方です。

たくさんの社員を一つの意思にまとめる効果だけでなく、経営そのものの動機を左右するものでもあるため、経営理念が固まっていないと経営者も社員も「立ち返る場所」がないまま勤務することになります。

様々な大企業・ブランドは、自社の経営理念に沿って、それぞれの市場価値・社会に貢献できる範囲等を理解しています。

それゆえに、自社がどんな存在かブランディングができているわけですが、経営理念がないまま経営を続けていると、やがては一貫性のない経営につながるおそれがあります。

安定経営に不安がある

経営理念は、社員の心をひとつにするため、かけがえのないものです。どこかで聞いたような経営理念を掲げるだけでは、社員に対してインパクトを与えるのは難しいでしょう。

社員も人間ですから、社長の力だけでは十分な協力体制を築けるとは限りません。時に社員の意思も反映しつつ、顧客や取引先とともに末永く共存していける体制を整えるためには、基盤となる考え方が必要です。

解決策

先にあげた問題点に対して、経営コンサルティングの観点から具体的な解決策を提示する場合、以下のようなものが考えられます。

自社の「オリジナリティ」を探る

これから経営理念を作ろうと考える際は、社長の意思を反映させた、会社のDNAを社員に脈々と刻んでいけるような理念を作る必要があります。しかし、ただ理念を作るだけでは、社員一人ひとりの心にまでは届きにくいものです。

そこで、自社が現在行っている事業や活動につき、他社と比べて自社にしか見られない特徴はないかどうか洗い出してみましょう。

例えば、自社が大正時代からの創業であるならば、ここまで歴史を作ることができた理由は何なのか、社内外から意見を取り入れます。

その結果、あえて昔ながらの人情経営を大切にしたことで現在があると分析できた場合、現代の感覚・例えばSDGsという観点から、自社のオリジナリティを再構築して考えます。

最終的に「持続可能な経営・商売をすること」が経営理念というところに落ち着いたら、それを踏まえて次のステップに進みます。

「社員の心をひとつにする」経営計画を策定する

社員が実際に企業のための行動を起こせるようになるには、理念だけでなく「社員の心をひとつにする」経営計画の策定が重要です。

経営計画とは、経営理念にもとづいて立てた目標をどう実現すべきなのか、プロセスを詳細に考えたものをいいます。

社員の心をひとつにするためには、まず経営者自身が社員の声を拾い集める努力をすることが大切です。畑を作る際には土を耕してから環境を整えるように、企業は経営者の想いを土台に組織として成長していきます。

社員に対して会社が提供できることを明確にして、成長すればより多くのものを提供できるようアナウンスしましょう。

先の例で言えば、持続的に社員・取引先・顧客が栄える環境を作るためには何が必要なのかにフォーカスして、社員と価値観を共有します。

その後、目標達成に向けてどうすればよいのか、社員全員で考えて行動できるよう、社員の役割分担を明確にします。

一人ひとりにとって無理のない目標を設定しつつ、その達成に向けて社員それぞれが行動することにより、社内には一体感が生まれることでしょう。

おわりに

売上10億円の壁を、社長一人の頑張りだけで乗り越えるのは難しいでしょう。自社の人材が、自社の経営理念にもとづき、自社の利益のために一丸となって取り組んでくれる環境を作ることこそ、壁を乗り越えるために必要なことです。

全員が組織の一員であることを自覚する企業は、ちょっとやそっとのことではダメージを受けません。

自社のオリジナリティに共感してくれる人材をそろえ、社員の喜びが企業の成長につながる体制ができあがったとき、企業は新たなステージへと移行するのです。

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