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会社ビジョン、経営理念の作り方とは?作成時の注意点と事例を紹介

会社ビジョン、経営理念

社会情勢の変化が激しい現代において、企業が初心を忘れず経営に勤しむためには、道標となるものが必要です。日本の将来を見据えた際、企業規模を問わず会社ビジョン・経営理念を構築することが、変化に流されず経営を続けるためには重要なポイントになるでしょう。

とはいえ、いきなり会社ビジョン・経営理念を作ろうと試みても、どこから・どのように手をつければよいのかイメージできない企業は多いはずです。

この記事では、経営コンサルタント的な観点から、会社ビジョン・経営理念の作り方と、作成時の注意点や事例について解説します。

会社ビジョンと経営理念の必要性について

会社ビジョンと経営理念の必要性

会社ビジョンと経営理念は、作成・浸透させる目的が異なります。
まずは、それぞれの違いや必要性について解説します。

経営理念をベースに創り上げる「会社ビジョン」

会社ビジョンとは、企業が将来進むべき道・向かうべき場所を指し示すために、方向性や将来像を描いたものです。多くの場合、経営理念をベースに創り上げるもので、シンプルな表現でまとめられていることが多い傾向にあります。

企業を運営する上で不可欠な「経営理念」

経営理念は、企業のリソース・プロダクトを活用する際の根本となるマインドや、アクションの方向性を文章化したものです。企業経営における考え方・価値観と言い換えることもできます。

一般的に、経営理念は企業経営の根幹をなす考え方にあたりますから、会社ビジョンよりも前に作成が必要なものです。

会社ビジョンと経営理念の違いを正しく理解する

会社ビジョンは、企業が未来に向けてどう活動していくのか、フレキシブルに変化させながら描いていくものです。これに対して経営理念は、企業が未来永劫変わらず維持していく考え方となります。

不動産に例えると、経営理念は土地であり、会社ビジョンは建物と言えます。
あくまでも、経営理念の上にビジョンが成り立っていることを押さえつつ、それぞれの作成に向けて手順を踏んでいくことが大切です。

経営理念を作成する際の手順・注意点

経営理念を作成する際の手順・注意点

まずは、経営理念を作成する際の手順・注意点についてご紹介します。
会社ビジョンの構築にも重要な役割を示すものですから、中途半端な内容にならないよう注意しましょう。

作成ステップは大きく分けて4つ

経営理念の作成ステップは、大きく以下の4つに分かれます。
今回はもっとも効率的な手順をご紹介しますが、複数の手順を同時進行で進めることも差し支えありません。

同業他社の事例に幅広く目を通す

スポーツを上達させるには上手な人を真似るのがスタートラインであるように、経営理念も一から自社の造語を創出するのではなく、まずは同業他社の事例に幅広く目を通すところから始めます。

どのような経営理念も、企業として「こうなっていきたい」という考えを端的にアナウンスしていますから、必ず参考になる表現・価値観が見つかるはずです。

ブレーンストーミングを行いアイデアを出す

同業他社の事例に目を通していくと、共感できるものもあれば、違和感を抱くようなものも見つかるはずです。それらを言語化した後、自社のコアになる理想・判断基準について、ブレーンストーミングを行いアイデアを出していきます。

生まれたアイデアは、いくつかのグループにまとめていき、大まかな方針として再構築します。

場合によっては、当初想定していた方向性から大きくズレることもありますが、自社として納得できる内容にまとまっていると感じたなら、次のステップに進んで問題ありません。

時系列と社会的意義を整理する

ある程度グループがまとまったら、少しずつ選別をかけていきます。
経営理念は、原則として「未来永劫」維持するものですから、過去・現在・未来の時系列の中でもブレにくい、一貫性のある内容が望ましいです。

同時に、自社の経営理念が社会と折り合うものか、何らかの社会的意義を感じられるものか、再検討する時間を設けることも大切です。

理念が広く世間に受け入れられるよう意識して、グループの整理を行いましょう。

自社にとって最適な表現を選ぶ

経営理念として採用する内容が決まったら、最後に表現のブラッシュアップを試みます。同じような意味合いの言葉でも、カタカナで伝えるのか漢字で伝えるのかによって、企業のイメージが変わってきます。

例えば「全社員の幸福」と「すべてのスタッフのハピネス」とでは、表現自体に込められた意味合いはほぼ同じであっても、言葉から伝わってくる雰囲気が大きく異なります。

自社の社風や目指す方向性に応じて、最適な表現を選びたいところです。

作成時の注意点は4つ

経営理念の作成時は、様々なアイデアが会議等で生まれるものと思います。
しかし、自社の目線だけで判断しないよう、以下の点に注意して作成しましょう。

社会貢献の観点から見て問題ないか

企業は「社会の公器」としての役割を担っているので、自社だけが儲けるような考え方をベースに経営理念を作成することは好ましくありません。
現代の流れに逆行している・社会貢献の観点から不足がある経営理念になっていないかどうか、経営コンサルタントなど第三者の視点をもとに確認しましょう。

中長期的な観点から見て成立するか

永続的に企業を経営するにあたって、時間の経過とともに経営理念を変更するのは、あまり好ましくありません。

もちろん、将来的に変更を余儀なくされる場合も考えられますが、基本的には中長期的な観点から見て十分成立し得る理念を採用すべきです。

誰が見ても分かりやすい内容になっているか

経営理念は、自社の社員はもちろんのこと、時には取引先や顧客にも伝えなければならないものです。よって、誰もが「一目見ただけで意味が分かる」シンプルな表現まで洗練することが、浸透しやすい経営理念と言えます。

自社の事業内容にフィットしているか

同業他社の経営理念を参考にして、自社の経営理念の作成に取り組んだ場合、よくよく考えると「自社の事業内容にフィットしていない」ものになっている可能性があります。

最終決定前に、自社のオリジナリティが盛り込まれた経営理念かどうか、あらためて検討する時間を設けた方が賢明です。

会社ビジョンを作成する際の手順・注意点

会社ビジョンを作成する際の手順・注意点

経営理念ができたら、次はそれをもとに会社ビジョンの作成へと進みます。
会社ビジョンは、経営理念と比べて柔軟に決められるので、将来の変更も考えながら検討していきましょう。

作成ステップは大きく分けて5つ

会社ビジョンの作成にあたっては、経営理念より具体的なイメージを描く必要があります。
以下のステップで作成を進めることで、作業の流れを最適化できるでしょう。

あらためて事業内容を確認

第1のステップは、自社の事業内容をあらためて確認する時間を設けることです。
自社で提供している商品・サービスは何で、顧客はどのような人たちで、商品・サービスに対してどれほどの対価を支払ってくれているのか、一つひとつ確認していきます。

業界や市場の把握

自社の提供しているもの・提供先をはっきりさせたら、次は業界や市場の状況について把握しましょう。

市場全体を見通してどのような現況なのか、自社の競合先の成績はどうなのか、自社がこのまま経営を続ければどこまで成長する見込みなのか、一つひとつ客観的に把握できるよう努めます。

公開されている財務諸表・IR資料の確認はもちろん、状況によっては市場調査会社にレポートを依頼するのも一手です。情報がなかなか取得しにくい場合は、経営コンサルタントに相談するのもよいでしょう。

自社の価値観をはっきりさせる

会社ビジョンの作成にあたっては、自社の価値観を経営理念に即して明確にする必要があります。自社がこれまでに培ってきた歴史や文化も含め、全社員が同じように共有できる価値観は何なのか、話し合って決めていきます。

利益を出すのは企業として当然としても、どのような分野・地域で貢献できるように臨んでいるのか、何のために仕事をしているのかなど、自社が譲れないものをはっきりさせましょう。

最低でも「5年以上先」の未来をイメージする

ここまでのステップで、

  • 事業内容
  • 市場や競合
  • 自社の価値観

が固まっていると思います。
それを踏まえて、より先の未来に焦点を当てて、最低でも5年以上先の自社の姿に目を向けてみましょう。

5年間同じ事業に取り組んでシェアを広げるのか。
現在取り組んでいる事業のノウハウを活かして、新しい分野への参入を図るのか。
ラインナップを増やすのか。

理想論ではなく、今を延長した結果として、現実的なイメージを描いていきます。
この段階では、数行にわたる文章や図説等でまとめても構いません。

キャッチコピーにまとめる

自社の未来像が具体的にイメージできたら、いよいよそれをキャッチコピーとして構成します。未来像を複数のキーワードで表現し、それを一文にまとめる流れです。

例えば、自社がタイヤメーカーだとしたら、車に乗る人の命を守る・燃費向上に貢献するなど、複数の観点から「安心」・「環境に優しい」・「低燃費」といったキーワードが抽出できます。

それを踏まえて「地球環境と共存できる低燃費と、ドライバーが安心してクルマに乗れる耐久性を両立できるタイヤ作りにまい進します」といった形で、キャッチコピーを考えていきます。

作成時の注意点は3つ

会社ビジョンは、ベースとなるものがあってこそ成立します。
また、状況に応じて変化することも想像しつつ、ビジョンが極端に凝り固まらないよう注意しましょう。

経営理念を根本に据える

会社ビジョンのベースとなるのは、あくまでも経営理念ですから、そこを逸脱するようなビジョンにならないよう気を付けたいところです。

極端な話、経営理念が「クライアントファースト」なのに、会社ビジョンが「環境保護に向けた施策の徹底」だった場合、経営方針に一貫性がないものと捉えられるおそれがあります。

世界情勢の変化を想定して作成する

会社ビジョンは具体的なイメージなので、いったん作成したものを永続的に採用するのは難しいでしょう。数年後に、自社を取り巻く状況が大幅に変わってしまうことも十分想定した上で、現時点での最適解としてビジョンを構築する意識が大切です。

社内外の誰もが分かる言葉を選ぶ

会社ビジョンは、社内で広く使われている言葉を採用してもよいのですが、選んだ言葉によっては社員以外が理解できないおそれがあります。
読み手が具体的にイメージできる表現を工夫して、社内外への浸透力を高めましょう。

大手企業の会社ビジョン・経営理念事例

大手企業ビジョン

続いて、大手企業がどのような会社ビジョン・経営理念を打ち出しているのか、いくつか事例をご紹介します。文章から受け取る印象を参考に、自社だけのビジョン・理念を考える際の材料にして欲しいと思います。

会社ビジョン

イオン

イオンは、
日々のいのちとくらしを、
開かれたこころと活力ある行動で、
「夢のある未来」(AEON)に変えていきます。

https://www.aeon.info/company/concept/

ローソン

目指すは、マチの”ほっと”ステーション。

https://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/idea/

経営理念

ANA

安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で
夢にあふれる未来に貢献します

https://www.ana.co.jp/group/about-us/vision/

京セラ

全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、
人類、社会の進歩発展に貢献すること。

https://www.kyocera.co.jp/company/summary/philosophy.html

おわりに

変化が著しい世界の中で、日本でも企業規模を問わず、会社ビジョン・経営理念が必要とされている傾向にあります。
時代の荒波を乗り越えるためにも、自社の道標となるものを明確にしておき、安定的かつ柔軟性のある経営を実現しましょう。

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