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会社の成長を加速させるために、経営理念、ビジョンを浸透させるには

会社の成長には、経営理念やビジョンの構築が不可欠ですが、それらを浸透させるのは決してかんたんとは言えません。経営陣は、自社の成長を加速させるためにも、何とかして経営理念が浸透するよう諸々の試みを継続する必要があります。

しかし、やみくもに浸透に向けた行動を起こしても、経営理念・ビジョンという抽象的な情報を実際に体現するのは難しいでしょう。

この記事では、会社の成長加速という観点から、経営理念・ビジョンを浸透させるために押さえておきたいポイントについてご紹介します。

なぜ経営理念・ビジョンの浸透が会社の成長加速に必要なのか

そもそも、なぜ経営理念・ビジョンの浸透は、会社の成長加速にとって重要なのでしょうか。
以下、主な理由をいくつかご紹介します。

社員一人ひとりが向く方向を同じにするため

自社で働いている社員は、それぞれに個性があり、生まれ育ってきた環境も違います。
信条や嗜好に関しても人それぞれですし、社員一人ひとりの行動を自社で制限するにも限りがあります。

もちろん、そういった個性は尊重されるべきですが、少なくとも社員として働いている間は、会社が目指す未来を実現するための仕事をしてもらわなければなりません。
そのための指針となるのが、経営理念・ビジョンなのです。

社員一人ひとりが、会社が成長するために何をすればよいのか、自分が普段行っている仕事のレベルにまで落とし込めたとき、そこで初めて経営理念・ビジョンの浸透が確認できます。

ここまで状況が進展すれば、社員の仕事のベクトルがそのまま企業の目指す方向に向かうため、効率的な経営の実現につながります。

組織の動きを止めないため

社員がそれぞれ考えていることは、同じ会社の中で仕事をしていても、一人ひとり違います。同じゴールを設けたとしても、そこに至るためのアプローチは社員で異なるため、結果的に実績に差が生じることになります。

組織はチームプレイで成立しているので、誰かがつまずいてしまうと、その分だけゴールに向かうのが遅れてしまいます。

きちんと自社が向かう方向を理解した上での失敗なら、フォローしやすいかもしれませんが、まったく逆の方向を向いている社員に対しては、なかなか効果的なアドバイスができません。

経営理念・ビジョンを浸透させることにより、少なくとも社内で働く仲間としては、働く意味・理由・価値観を共有しやすくなります。すると、会社が困難な状況におちいったとしても、志を変えずに知恵を集めることができるのです。

マネジメントの効率性を高めるため

高校や大学などの学校では、一部のイベントや部活動等の時間を除いて、基本的には一人ひとりが違う考えで行動しています。これに対して、会社は基本的な価値観を社員が共有した状態で行動するのが基本です。

例えば、化粧品販売事業を行っている会社の中で、社員が会社の看板を使って独断でデジタルカメラを販売することは、言うまでもなく問題行為です。副業など一部のケースを除き、会社の名前を使って仕事をする以上は、会社が認めたこと以外を社員は行ってはならないわけです。

しかし、経営理念・ビジョンが十分な形で浸透していないと、社員の裁量がどこまで認められているのか分からず、問題行為ととらえられるような行動を起こす社員が出てくる可能性があります。

あるいは、裁量自体を特に決めないまま仕事をしていて、社員の問題行為に経営陣が気付けなかったり、意思決定に悪影響を及ぼしたりするおそれもあります。

経営理念・ビジョンがきちんと共有できていれば、理念に即して何が正しくて何が間違いなのか、社員が判断しやすくなります。その結果、リーダー以上の役職者がマネジメントを効率的に行いやすくなり、成果を出す人材管理につながります。

経営理念・ビジョンを社内に浸透させる方法

社員の理解度は、個々人で差があるため、すぐさま経営陣の頭の中でイメージしているような経営理念・ビジョンの浸透は望めません。

現実的な速度で、できる限り早く経営理念・ビジョンを社内に浸透させたいと考える場合、以下のようなフローで浸透に向けた行動を起こすことが大切です。

理念が浸透していく流れを把握する

経営理念が社内に浸透するためには、自社の経営理念に沿って、社員の精神的な土壌を整える必要があります。具体的には、以下の3つの流れで、社員の心を自社に向けることを意識して施策を検討します。

オープンな社風の構築

経営理念の浸透のためには、社員がまず「経営陣ならびに他の社員の意見を聞く」姿勢を作る必要があります。そのためには、社長自ら社員の声に耳を傾ける意識を持ち、実際にそれを態度や行動で示していくことが求められます。

ここでしっかり社員と向き合うスタンスをアピールできれば、経営者の声に耳を傾ける準備が次第に整ってきます。

やがて、自社で働く誰もが、社長も含めて他者の声に耳を傾けられる関係を作れるようになると、そこには何事にもオープンでいられる雰囲気(社風)ができあがっているはずです。

社員に納得してもらう

社員が社長の話を聞くだけでは、経営理念の浸透には至りません。
社員が経営理念に対して「腑に落ちた(納得した)」状況を作らなければ、せっかく説明を聞いても「何を言っているのかよく分からない」社員が生まれる可能性が高いのです。

そこで、企業理念をキャッチフレーズ化し、社員の心に分かりやすく届くよう、内容をまとめることが必要になってきます。人事・総務部と連携し、企業理念をスライド化して見やすい形で説明するなど、見た目や伝え方にこだわるのもよいでしょう。

朝礼等で見やすい場所に理念を飾るだけでなく、名刺や社内掲示物に理念を載せるのも効果的です。社員としても、一瞬・一日で理念を落とし込むことは難しいですから、少しずつ理解を促進していけるよう策を講じましょう。

理念に対する共感と貢献がビジョンにつながる

経営理念は、ある意味では企業の「つくりもの」なので、社員の本心と100%リンクするかどうかは未知数です。自社で仕事をする中で、社員の心に何らかの化学反応が生まれて初めて、社員は経営理念に共感できるはずだからです。

経営陣としては、会社側が社員に歩み寄る形で、社員の心の片隅に理念を植え付けられるよう、共感を醸成する必要があります。

具体的には、自社で仕事をする中で社員が経験したエピソードと、経営理念とをリンクさせる機会を設けることが大切です。

ミーティングの場で社員の働きを好評価したり、素晴らしい仕事を表彰したりすると、どういう仕事が「自社らしい仕事」なのか、他の社員が把握しやすくなります。

また、社員の中に「自分も良い仕事をすれば評価されるんだ」という意識が生まれるため、社内貢献が進むうちにビジョン実現に向けた動きが加速していきます。

なぜ浸透しにくいのか理解する

先にお伝えした3つの流れは、経営理念・ビジョンの浸透をスムーズに進める、基本的なプロセスです。企業規模によっては時間がかかるかもしれませんが、順序立てて進められれば、決して不可能なプロセスではありません。

しかし、多くの企業が経営理念・ビジョンの浸透に苦戦しているのも事実です。
以下に、理念やビジョンが社内に浸透しにくい理由をまとめました。

経営陣のスタンスに問題がある

経営理念を浸透させる施策を講じる場合、その現場に経営幹部だけが集まっていても、あまり意味はありません。

むしろ、現場に近いスタッフ・変化を受け入れにくいパーソナリティを持つスタッフも巻き込みながら、社内全体で経営理念を構築しようという意識を共有する必要があります。

なぜ理念が重要なのか、経営陣の話を聞くことがどんなメリットを持っているのかについては、経営陣から離れているスタッフにこそ伝えなければなりません。抵抗勢力を生まないためにも、定期的に理念浸透の機会を設けることが大切です。

また、経営陣や社長が理念浸透のための行動に時間を割けず、経営幹部に理念浸透に向けた施策を任せきってしまうのも問題です。企業のトップが語らない理念に対して、社員は理解を示しにくいものですから、まずはトップが進んで動く姿勢を見せましょう。

組織に合わない方法を模索している

一口に社風といっても、体育会系なのか自由度が高いのかなど、会社によってどんな雰囲気なのかは異なります。

普段から朝礼で唱和等の文化が身についているなら、朝礼で経営理念を読み上げるのも効果的かもしれませんが、刷り込み式の浸透を良しとしない社員が多い中でそのような方法を採用しても、目立った効果は期待できないでしょう。

逆に、社員側に「どうすれば経営理念が浸透するのか」を考えてもらい、それを自分たちで実行してもらうのも一手です。

どんな方法を採用するにせよ、実際に仕事という形で理念を実践するのは社員ですから、社員が自分の意志で経営理念を理解できる方法を検討すべきです。

叱咤激励により社員を委縮させる

経営理念に沿った行動ができていない社員を見ると、経営陣としては叱りたくなってしまうかもしれません。しかし、叱咤激励は社員の意思と関係なく理念を浸透させようとする行動ですから、マネジメント的に効果が高い方法とは言えません。

叱るくらいなら、理念に沿った行動ができている社員を称賛する方が、他の社員にもポジティブな影響を与えられます。叱咤激励が続くと、次第に社員の会社に対する気持ちが離れてしまうため、控えるようにしましょう。

経営理念・ビジョンを伝えるツールを複数用意する

無理なく社員に経営理念・ビジョンを浸透させるには、ツールを複数用意するのも効果的です。具体的には、以下のようなツールを用意すると、社員がそれぞれのタイミングで理念を理解しようとするきっかけになるはずです。

  • 会社の理念、歴史をまとめた本
  • 定期的な社内報の発行
  • 理念を実践できていることが評価項目に含まれている人事制度

その他、総会やイベントを通して、クイズ形式で経営理念への理解度を確かめる方法もあります。できるだけユニークな視点から、社員の心に浸透する方法を考えてみましょう。

おわりに

経営理念・ビジョンの浸透は、将来にわたり会社の成長を加速させる重要なポイントです。
しかし、やり方を間違えてしまうと、かえって逆効果になる施策もあります。

社員一人ひとりが、経営理念・ビジョンを「自分事」としてとらえられるよう、時間をかけて浸透させる努力が大切です。くれぐれも、トップダウンかつ叱咤激励型の浸透方法は採用しないよう注意しましょう。

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