経営理念はなぜ必要?なんのため?テンプレートでは意味がない理由
こんにちは、ファーストステップ株式会社、コンサルタントです。
今日の記事はこんな方にぜひ読んでいただきたい内容です。
- そもそも経営理念って何?
- 経営理念を作った方がいいとよく言われるけど、本当?
- 経営理念を作るメリットとは?
- ウチみたいな小さな会社でも、経営理念って必要?
- 経営理念ってどうやって作るの?
これらの内容について、まとめていきたいと思います。
そもそも経営理念とは?
経営理念とは、その会社の活動方針の元となる”考え方”のことを言います。
通常は創業者や経営者が策定します。
たとえば、松下電器産業の創業者である松下幸之助さんは、経営理念を「綱領」としてこのように定めました。
産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り
世界文化の進展に寄与せんことを期す
つまり、事業活動による社会への貢献を目的とした会社なのです。
そして、Panasonicの経営理念は、
A Better Life, A Better World
松下幸之助さんの意思を継ぎ、現代向けに端的に表現したものを使っています。
その他、有名企業の経営理念の中でも分かりやすいものを紹介します。
- 「地球上で最もお客様を大切にする企業」ーAmazon
- 「はかる」を通して世界の人々の健康づくりに貢献します。ータニタ
- 服を変え、常識を変え、世界を変えていくーFAST RETAILING
- 自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供します。ーオリエンタルランド
どれも皆、なんのための会社かということが簡潔に示されていますよね。
創業者が作った経営理念がそのまま受け継がれているケースもありますし、その時代に即した言葉にアップデートされている企業もあります。
経営理念を作った方がいい…は本当か?
経営理念を作ったほうがいいですか?というご質問を受けることがよくあります。
たとえば会社のホームページを作ったり、パンフレットを作ったり。
「今度、創業〇年の記念に記念誌を発行しようと思うんだけど、カッコイイ経営理念があったらいいな…と思って」
なんていう方もいるのでは?慌てて経営理念を作ってとりあえず掲載した…という経験のある方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、社長が本当に思っていることを経営理念に落とし込めていなければ、何の意味もありません。
経営理念は、社員が行動したり、意思決定したりする際のベースとなる”考え方”なので、それが社長の思いとズレてしまうと、経営も上手くいきません。
ですから、なんでもいいから経営理念が制定されていれば良いというのではなく、社長の意思を反映し、会社のDNAを社員に脈々と刻んでいけるような経営理念を作った方がよい、と言うことができます。
経営理念作りのよくある失敗例
経営理念づくりで陥りがちな失敗例はこちら。
- 大企業の経営理念を見て、良さそうなのがあったから真似をする…
- 語感がカッコイイという理由で決めてしまう…
- どこかで聞いたようなフレーズになっている…
- 社長の独りよがり、我欲だけで作ってしまう…
- 「人にやさしく」、「みんなを笑顔に」といった漠然とした内容にしてしまい、何の会社かよく分からない…
いわゆるパクりや、雰囲気だけでなんとなく決めた経営理論は「ダサい」というだけでなく、社長の本当の想いを言っていないので、そもそも経営理念としての目的を果たすことができません。
経営理念はなんのためにあるのか?メリットとは?
では、経営理念ってなんのためにあるのでしょうか?
経営理念は、簡単に言うと「社員の心をひとつにするためにある」と言えます。
会社組織では、所属するたくさんの人がみな同じ方向を向いて、同じ目標に向かって日々働いていく必要があります。
経営理念があると、一人ひとりの社員が、今の自分の手元にある仕事を通じて、こんな便利な世の中を提供しよう…とか、お客さまにこんな喜びを与えよう…という目的意識を持って働くことができるようになります。
お給料が貰えるから働く、というお金だけのために働いていた状態から、会社を良くしようとか、社会を変えていこうといった心の動機付けができるようになるので、仕事の質が高まります。
また、経営理念を制定することで、ブランドイメージの確立に繋がります。なんのために事業を行っているのか?どんな存在意義があるのか?といったことを分かりやすく表現することができます。
まとめると、経営理念を作る大きなメリットとして
社員の心がひとつになる
社長の意思が社員に伝わり、考え方の根っこの部分が伝わる。社員が一丸となって同じ方向を向いて事業に邁進できる。また、 社員がお金以外の働く意義を見出せるようになる。
ブランドイメージが確立できる
どんな会社か?なんのために事業を行っているのか?を対外的に分かりやすく示すことができる。
この2点が挙げられます。
小さな会社でも経営理念は作るべき?
何百人も社員がいる大企業ならまだしも、ウチみたいな小さな会社には、経営理念は要らないんじゃない?と言われることがよくあります。
しかし、結論から申し上げますと、小さな会社でも経営理念は必要です。
社長お一人の会社なら、社長の頭の中を元に社長1人が行動を起こすので、対外的に示す以外はあまり意味がないように感じられるかもしれません。
ですが、たとえお一人の会社でも、ご自身がブレてしまわないように、そして対外的に思いを表現するためにも経営理念は作っておくことをお勧めします。
そして、社員が数名でもいらっしゃるのなら、経営理念は絶対に必要です。
作る、というと頑張ってひねり出すイメージを持たれるかもしれません。
しかし、実際は違っていて、本当は経営理念というものは、自然と生まれてくるものだと思います。それをまだ言語化できていないだけで…。
最後に「経営理念の作り方」を紹介したいと思います。
経営理念の正しい「作り方」とは?
まず、「経営理念は、社長1人で作るものか?」という問いに、半分はイエス。そして、半分はノーと言えます。
経営理念とは、会社経営をする上での根本的な”考え方”だと言ってきましたが、”会社の風土”とか”会社の文化”ということもできます。
そして、それを実際に作り上げていくのは必ずしも社長お一人ではなく、社員様も関わってきます。
たとえば、
- 創業時の社長の思い、そして今の思いを、社員に伝える機会は持っていますか?
- この商品が「売れるか」「売れないか」という視点ではなく、「どうしたら世の中の人に喜ばれる、品質の高い商品を提供できるか?」という視点で考え、行動していますか?
- あなたは、なんのために働いていますか?
社長の想いを整理したり、自分自身と向き合う時間も大切です。
そして、独りよがりにならないよう、社員はどんな思いで働いているんだろう?ということに興味を持ち、お互いにシェアしあうことも大切です。
社内で考え方をシェアすることで、その根っことなる経営理念もおのずと見えてくるのではないでしょうか。
社員はイキイキと働いていますか?
今回の記事では、どんな会社にも経営理念は必要であること。
そして、それは取ってつけたような経営理念ではなく、考え方の根っこを見つめ直してオリジナルの経営理念を作ることが大切だということを伝えさせていただきました。
しかし、「社会貢献のために働いている」という美談だけでは実際のビジネスが成り立っていないことは、皆さまもよくご存じかと思います。
そう、お金の問題です。
社員が働く意思、意義を見出すためには、整った環境が必要です。
そして、その環境づくりとは、すなわちお給料のこと。
自分の仕事がどれだけ会社の利益に貢献しているのかが分かり、公平性のある人事制度があり、自分の働きに対して正当な評価とリターンが得られる環境が整備されることで初めて、「会社のために頑張ろう」と思えるようになるーという事実を無視することはできません。
「働いても働いても、社長はぜんぜんお給料を上げてくれないー」
そんな不満を持った社員ばかりでは、会社経営が上手くいかないことは目に見えています。
そこで次回は、会社経営の成功に密接に関わる【人事制度】についてをテーマにしたいと思います。