社員のやる気を引き出すには?研修や人事評価だけではダメな理由
こんにちは、ファーストステップ株式会社のコンサルタントです。
寒くなってくると、朝布団から出るのが辛いですよね。だからと言って、遅刻をするわけにはいかない。冷たい水で顔を洗い、社員の前では爽やかに振る舞われている社長様も、同じ人間ですから、本当は気乗りしないなあ…という日もあります。
とはいえ、社員の多くが始業ギリギリに現れたり、あくびをしたりしている…という状況は、当然容認できません。
実際、やる気が感じられない…どうしたらもっとやる気を引き出すことができるんだろう…という社員のモチベーションに悩む社長様も多いようです。
今日は社員のやる気をなんとか上げたい…という方に
- なぜ社員のやる気がないことが、経営上大きな問題なのか?
- 研修をしたり、ボーナスを与えることで、社員のやる気は変えられるのか?
- 社員のやる気を引き上げるために、具体的にすべきこととは?
これらのテーマについて書いていきたいと思います。
やる気がないのは、百害あって一利なし
1人やる気がない社員がいるだけで、周りの人の士気も下がり会社の雰囲気も悪くなっていまいます。
まして、やる気がない人が何人もいるような状況だと、個人のパフォーマンスの問題だけでなく会社全体の問題になってしまうため、早期解決する必要があります。
社員のやる気がないと、
- もっと売上を伸ばしたいという数字に対する執念がなくなる
- もっとクライアントに喜んでもらいたいという向上心がなくなる
- 顧客対応が親切さや気配りに欠けたものになる
顧客に嫌われたり、クレームの原因になったり、売上が伸びなくなる…といった致命的な悪い流れができてしまいます。
よくある誤解① 研修、コーチングを受けさせればやる気を出す?
研修を受けさせることで、社員のやる気を引き出そうと考える社長様も多いようです。当社にも、「研修を行って欲しい」というご相談はよくあります。
しかし、闇雲に研修を受けさせてもやる気は育ちません。
それどころか、とある企業様は社員のやる気を出すために外部の研修を受けさせたところ、社員が本気で頑張ろうと考えを改めた結果、なんと独立されてしまった…という事例がありました。
自己啓発系セミナーやコーチングなどを受けることで、「自分の人生をより良く生きよう」という想いを強くする方も多いようです。
つまり、研修による効果がないわけではありません。
ですが、会社としてちゃんと軸がないと、「あれ?じゃあ自分はなんのためにこの会社で働いているんだろう…」とか、「もっと自分に合うところがあるんじゃないか?」と思わせてしまい、「この会社は違う」と見限られて転職されたり、独立されてしまうリスクもはらんでいるのです。
会社からせっかく高い研修費用を払って有名講師を雇ったのに、「会社を辞めて、もっと成果を出すぞ!」といった不都合なやる気を出されてしまっては、何の意味もありません。
きちんとした動機付けがなされていないまま研修を受けさせるのでは、社員が今の仕事にやる気を出して、今まで以上に働いてくれるようにはならないのです。
よくある誤解② 人事制度を変えれば、やる気を出す?
では、「達成率120%以上の人にボーナスを出す」とか、「成績上位〇%が課長職に昇格」といった報酬を用意することで社員のやる気を高めることはできるのでしょうか?
報酬を与えると、短期的な目線ではやる気を上げられることもあります。
しかし、馬の鼻先ににんじんをぶら下げたからと言って、馬が一生走り続けたりはしないのと同じように、報酬という一過性の動機付けでは人は頑張り続けることはできません。
達成できない時はストレスになりますし、報酬が貰える人と貰えない人が生じるという不平等感がかえってやる気を削ぐこともあります。
ましてや「未達が続けば降格」とか「役職定年制度を設ける」といった不利益が生じる内容は、相当理に適ったものでない限り、むしろ社員のモチベーションを下げたり、離職に繋がります。
一部の企業では社員の比率改善のために思い切った人事制度を作るケースもありますが、基本的にはアメとムチのバランスが難しい上に、制度ありきでは個人のやる気を高めることはできないようです。
では、具体的にやるべきこととは?
私がお勧めしたいのは、会社の軸(経営理念、何のために事業を行っているのか?など)を決めること。そして、社員とコミットすることです。
もっと分かりやすく言うと、「私はなんのために働くのか?」という問いに対する、確固たる答えを持つということです。
たとえば補聴器の会社なら、「耳が聞こえにくい方が商品を使うことで、人との交流や音楽などを楽しみ、人生をもっと彩り豊かにするためのお手伝いをする」という設立当初の社長の想いを、社員ひとりひとりに伝えるのです。
そして、事あるごとにその想いを社員の心に蘇らせ、「私は目の前のあの人の人生を輝かせるために働いている」という思いで接客にあたらせるのです。
そうすることで、社員はお金のために働いている状態から脱却し、会社の一員として社会に貢献するために働くようになります。
会社が自分に、生きる意味を与えてくれた
そう社員に思わせるというのは、決して大袈裟なことではありません。
会社の軸をしっかりと持ち、社員とコミットするということは珍しいことではなく、実は、個人レベルのやる気とパフォーマンスが高い会社が皆やっていることなのです。
もちろんそのためには、ひとりひとりが採算意識を持つことも大事です。
ひとりひとりの社員が、働く意義を見出すために
研修や人事制度の構築が悪いことだとは言いません。効果がまったくないとは言いません。
ですが、それよりもまず先に心の芯の部分に手をつけなければ、根本から社員のやる気を出すことはできません。
- この会社に入ることで自己実現ができた
- 自分の仕事が、世のため人のために貢献していると思うと清々しい
- これからもこの会社とともに歩みたい
こんな想いを抱いている社員はまず辞めません。
お金のためだけに働くことよりもはるかに成果が出ることはもちろん、社員の人生そのものを輝かせることに繋がります。
まずは、社長自身の「軸」から見直してみるのはいかがでしょうか?
会社設立当初の想いや、今後叶えたい夢などを自由に書きだすだけでも、昨日とは違ったなにかが見えてくるかもしれません。