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社長業とは?中小企業の代表なら知っておきたい社長業のすべて

社長業とは?

中小企業を経営する多くの社長は、企業を成長させるため、日夜努力を惜しまず仕事と向き合っているはずです。しかし、あらためて「社長業とは?」と問われると、すぐには答えが出せない人も多いのではないでしょうか。

社長業を詳しくカテゴライズすると、企業の数だけ仕事内容が生まれるため、一概に社長業を定義することはできません。しかし、複数の企業の社長に共通する仕事内容が存在することも事実です。

この記事では、中小企業の代表向けに、社長業の中身について解説します。
現状、自社で取り組めてない要素があれば、強化を検討することをおすすめします。

社長業とは何か

社長業とは何か

社長業とは、その社長がどのような働き方をしているのかによって、その定義が変わってきます。まずは、中小企業の代表に求められる要素について、基本的なものをご紹介します。

会社の意思決定の主体である

企業を引っ張る人間として、社長は働いている従業員から支持を、管理職からは信頼を集めなければなりません。社長は自分が働いている会社の代表として、意思決定の主体である必要があります。

といっても、人間として完璧である必要はなく、あくまでも「自社で何をするか決める」ことができて、それに対して支持・信頼を集めることができれば問題はないわけです。

よって、企業の重要な意思決定の部分では、決してブレないようにしたいところです。

その一方で、具体的な成果を出すにあたっては、柔軟な考え方で対処することも求められます。複数の事業に手をつけ、伸びたものはもっと伸ばし、収益性が見込めないものは止める決断をするのも、社長の仕事です。

会社の目的を決める

諸々の決断を行うにあたって、そのベースとなるものは、会社としての「目的」です。自社の存在意義や、自社を設立した目的について、明示できるようにしなければなりません。

具体的には、経営理念やビジョンといったものを考え、幹部や社員に伝えていくことが求められます。

行き当たりばったりで決めた目的は、説得力が薄くなってしまったり、事業を進める中で意味をなさなくなったりする可能性がありますから、自社のバックボーンを考えつつ慎重に決めていきましょう。

すでに経営理念・ビジョンがある企業であっても、企業の成長にともない見直しが必要な場合があります。自社が経営理念・ビジョンに即した内容になっているかどうか、定期的に見直すことができる立場の人は、社内では社長クラスに限られるでしょう。

企業によっては、クレド等の形で「行動指針」を定めているケースもあります。
社員との距離が近い企業であれば、社長が「従業員自身が行動指針の決定に関与する」場を設けることで、業務遂行に対する社員の責任感を醸成することにつながります。

事業の目標を決める

社長は事業の成果に対して責任を負う立場ですが、同時に事業の目標を決める立場でもあります。事業の目標は、それぞれの社員が達成する目標にもつながってくるため、社長は具体的な目標を示し、そこまでたどり着くための道筋を描く必要があります。

具体的には、経営上必要な数値目標を定めることが重要です。
一例として、営業・販売の部門で数字を決めていくのであれば、以下のような目標値を掲げることが求められます。

  • 売上高
  • 粗利率
  • 新規顧客数
  • リピート率
  • 平均単価  など

社長として働いている人の多くは、自然とこういった数値に意識が向いているはずですが、達成できるイメージがないのに無理な数字を定めることはできません。

社長自身が営業して達成できると思っている数値と、社員が達成できると思っている数値には隔たりがあることも多いので、まずは毎月の数字を集計し、現実的・具体的な根拠を示せるようにすることが大切です。

無理筋の目標を立てても、社員のモチベーションがついていかないため、かえって信頼を損ねてしまうおそれがあります。目標に対する具体的な根拠を伝え、社員に達成方法を検討・実行してもらい、結果をチェック・フィードバックするまでが社長の仕事となります。

社員を食わせていく

社員を食わせていく

企業の目的は、事業によって利益を出すことです。
そのためには、社員の生活を支えられるよう努力しなければなりません。

社員を食わせていくために、社長はお金の流れを管理する力・稼ぐ力を強化していかなければなりません。自覚している人は少ないかもしれませんが、社長は以下のような要素も持ち合わせています。

自社のトップ・オブ・営業マンとなる

社長は組織の経営者であると同時に、社員とはまったく規模の異なるレベルの営業活動ができる存在でもあります。社員が取れない規模の仕事に携わったり、新たな案件を取ってくることができる立場ですし、そうでなければなりません。

言わば、自社の営業部門の真のトップであり、もっとも優秀な営業マンと言えます。
自社の基盤を作り、その中で社員が自社の看板を背負って営業できる環境を構築することが、社長の重要な仕事の一つです。

営業力は、自社の信頼度によっても大きく変わってきます。
社員の立場から世間の信頼度を高めるのは難しい部分がありますから、企業の信用を貯める観点から考えても、社長の営業力は重要です。

継続的に儲ける仕組みを作る

企業を立ち上げた段階では、社員のマンパワーが営業力を左右することがあります。
しかし、いつまでもそのような状況が続くのは、安定した経営を実現する観点からは望ましくありません。

営業成績が、個人の能力に左右されない仕組み作りは、自社の営業力を高める上で重要です。
すべての人材が一定の成績を出せるよう、マーケティングを行う必要があります。

マーケティングをどう進めていくべきかについては、一口に説明できるものではありませんが、自社の規模にあったプロモーション手法を取り入れなければ、十分な効果が期待できないおそれがあります。

予算と環境を考慮しつつ最適な手法を採用するのは、仮にそのプロセスの中で専門家を雇ったとしても、最終的には社長の仕事にカテゴライズされるでしょう。

お金の流れ・人脈を作る

経営を安定させるためには、自社のお金の流れを把握して、必要なタイミングでお金を集められる体制を整えることが大切です。雇用している社員を守る・支払うべきお金を支払うために、お金を用意する手段は複数準備しておく必要があります。

黒字経営であっても、利益と手元の資金にズレがある状況だと、実際にお金が欲しいタイミングで通帳に売掛金が振り込まれないという事態が生じます。

アンバランスな状態が続くと、黒字倒産の憂き目を見るリスクもありますから、社長には資金繰りについて「複数の選択肢がある状態」を保つことが求められます。

また、社長は社員に比べて圧倒的に出会いの数が多く、時にはビジネスを加速させる素晴らしい出会いに恵まれることもあります。こういった人脈は、自分が金策に困っているタイミングでも役に立ってくれる場合があるため、積極的に顔を売るのも社長の仕事と言えるでしょう。

社員の教育に携わる

社員の教育に携わる

社長が一代で会社を立ち上げたのであれば、自社の中でもっとも自社のことを知っているのは、おそらく社長でしょう。よって、自社の沿革や仕組みについて社員に説明する際、やはり社長が主導で行うのが自然です。

外部から引き抜かれて社長になった場合であっても、トップとしての考えを浸透させていく義務はありますから、やはり社員教育は重要な課題です。

以下の仕事に関しては、職種の自由度から考えても、やはり社長が適任でしょう。

教育の指針を決めて運用する

一代で企業を終わらせるつもりでいるなら、ワンマンなまま会社をたたんでもよいのかもしれませんが、企業は成長を続ける存在です。社員の生活も続いていくことを考えると、次世代のことを考えた教育は必須です。

実際に教育を担当するのが別の社員・または外部の講師だったとしても、社員教育に関する指針を決めるのは社長の仕事です。どんな社員に育って欲しいのか、社員が上のランクを目指すための条件は何か、一つひとつ指針となるものを決めていきます。

分かりやすく指針を社員に伝えるには、各職種・部門における「理想の人材像」をイメージして、その人材が持つ特徴を箇条書きにしていくのがよいでしょう。抽象的な内容だと、社員の理解が追い付かない場合がありますから、できるだけ具体的な内容を伝えたいところです。

幹部候補を教育する

社長が一人でできることには、どうしても限界があります。
企業が大きくなると、右腕(No2)の存在が重要になるため、幹部候補の教育にも力を入れることになります。

幹部候補は、社長の立場から直々に教育する必要があります。
なぜなら、幹部に求められる能力は、言わば社長を代理する部分に相当するからです。

社長が経験した仕事を伝授するには、やはり社長が説明しないと、説明を聞く側も混乱してしまうでしょう。社長の目で見たことを、社長の口から伝えることで、幹部教育には説得力が生まれます。

何かあったら矢面に立つ

人材教育の観点から言えば、社員がいきなり社長と同じパフォーマンスを見せるのは難しいでしょう。時には失敗することもあるでしょうし、社員がその問題の責任を取れるとも限りません。

社長は、社員が失敗した際に、矢面に立つ覚悟を持たなければなりません。
それがどんなに小さなことであっても、失敗をフォローする意識がない組織の中では、社員が健全な形で育つことはありません。

社長が失敗を許さない・何かあったときに隠れてしまうようでは、社員は毎日委縮しながら仕事をすることになります。もっとも最悪なのは、失敗を隠蔽する体質ができあがってしまうことです。

社員による失敗の隠蔽が当たり前になると、社長はやがて内部告発によって自社の問題を知ることになるかもしれません。

企業価値を下げないためにも、社長は社員とその教育に真正面から向き合う必要があるのです。

おわりに

中小企業において、社長の経営に対するスタンスというのは、社員に伝播しやすいものです。
少しでも社長にふさわしくない対応をすれば、瞬く間に社員の心は離れてしまいます。

プライベートにおける振る舞いも含め、社長は社員に「見られている」立場として、自分の背中を見せ続けることが求められます。

背中に無駄な傷を作らないよう、普段の仕事や生き方に関しては、後ろめたい部分がないようにしましょう。

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