管理会計と財務会計の明確な違いとは?中小企業の経営者に必要な会計は…
こんにちは、ファーストステップ株式会社コンサルタントです。
今日の記事は、皆さんからよく聞かれる「管理会計」と「財務会計」についてです。
- 管理会計と財務会計、2つの会計方法があるってどういう意味?
- 小さい会社は財務会計だけやっておけば、十分なんじゃない?
- 管理会計って本当に意味があるの?
決算のために作る財務会計と違い、作成することが会社の存続上必須ではないとされていることから、管理会計にはあまり馴染みがなく、必要性を感じていない方もいるかと思います。
ですが、結論から申しますと、管理会計は会社の経営を良くするためには、絶対に必要です。
その理由は後述します。まずは、財務会計はどういうものか?という点からご説明します。
税金を納めるための財務会計
財務諸表の表記ルールに従って決算を行ったり、確定申告をするために出す会計を、「財務会計」と言います。
財務会計では、会計や税務のルールを順守することが求めれ、今まで行った過去のお金の動きを処理することで「決算書」を作成します。
この財務会計の一番の問題点は、経営判断のために作られたものではない、ということです。
過去のお金の動きの明確化はできますが、未来をどうしていくか?たとえば「売上をあと1億増やすにはどうしたら良いか?」という時には上手く使うことができません。
なぜなら、売上を増やすと当然売上原価や販管費も増えますよね。
でも、それがどの程度増えるのか?というのを「財務会計」しか行っていないと、目で見て把握することができません。
財務諸表のルールに従って作った財務会計では、期中の変動費と固定費を一緒に計上してしまうため、経営判断に使うには非常に弱いという問題があります。
また、財務会計だと会社全体の数値の合算で求めれば済むため、一見するとラクに感じるかもしれません。でも、裏を返すと知りたいことを知ることができないという問題があります。すべて合算しているので、部署ごと、店舗ごとの経営状況の良し悪しが分からないからです。
金融機関や投資家が知りたいことと、経営者が知りたいことは違う
あなたの会社に融資を検討している金融機関や、投資をしようと考えている投資家にとっては、あなたの会社全体の成績が分かれば、投資判断をすることができます。
不採算部門があっても、すごく儲かっている部門もあるので上手いこと黒字化できている…なら、とりあえずいくらまでなら出せるな…といった大まかな判断ができます。
しかし、経営者であるあなたは、経営上の課題を知る必要があると思いませんか?
不採算部門をこのまま放っておけば、いつか取返しのつかないことになるかもしれません。
財務会計は、税務署や投資家など外部の人に向けた会計であり、細かな採算を知ることができないので経営判断には使えません。
管理会計は未来のための会計
管理会計は、財務諸表のルールに縛られず、会社の経営状況をより実態に合わせて細部まで把握できるように独自に作成するものです。
具体的には、固定費と変動費を分けたり、部門別採算制とすることで各部門ごとの採算・不採算を明らかにしたり。1人あたりの労働採算を明らかにしたり…と、会社の経営判断のために使う数字を求める会計手法です。
つまり、管理会計は社内向けの会計と言い換えることもできます。
財務会計 | 管理会計 | |
作成目的 | 決算書の作成 | 経営状況の把握、経営判断材料として |
誰のための会計か? | 社外向け | 社内向け |
できること | 決算の報告(過去の正確な経理処理) | 部門別採算の把握(未来への戦略づくり) |
利益を出したいなら管理会計
先述したように、税金を納めるための会計が「財務会計」だとすると、利益をだすための会計は「管理会計」だと言えます。
経営上のうまく行っているところはどこか?課題を抱えているところはどこか?を明確化して、改善していくためには管理会計なしには進められません。
経営状況を把握せずに経営判断はできませんから、もし現在財務会計しか求めていないとしたら、経営者は自分の頭の中だけで非常に難しいことに取り組まれている状態だと言えます。
管理会計を導入することで、経営者は経営判断に必要な材料を手に入れることができるので、最初は手間に感じたとしても、やっていくうちにほぼ100%、皆さんやってよかったと仰ります。
管理会計を導入すると、未来に対する目標の設定が可能になりますので、その数字を使って部署ごと個人ごとの目標を立てることもできます。採算や貢献度を見て人の評価をする指標にも使えます。
何もない状態から経営をするのとは、各段に違う未来が手に入るのです。
仕組みとして導入してみよう
管理会計を、財務会計のような一会計手段として捉えると、やることが増えて面倒なもの…という印象を受けるかもしれません。
ですが、管理会計を会社の仕組みとして導入すれば、売上や利益の目標管理や、人事評価などさまざまな局面で応用ができます。
なお、部門別採算制については別の記事で紹介していますので、部門ごとの採算を知るメリットなどもあわせてご確認ください。